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新刊の文庫小説を★の数で採点し、稚拙な文章も添えます.。ネタばれは少なめに、皆さんが本を手に取るきっかけになれば幸いです。                                                            
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電車屋赤城 (角川文庫)電車屋赤城 (角川文庫)
(2011/08/25)
山田 深夜

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評価:★★

「大丈夫だよ。赤城ちゃんはさ、なんていうか……。そう、魔法使いなんだよ。なんにも言わないけど、なんでも知ってるし、そっとなんとかしてくれんるんだ。」 電車屋とは名ばかりで、本当は魔法使いの話です。

引きこもりの青年が出会った、武骨な電車整備士(魔法使い 赤城)。人の命を預かる車両整備に人生をかけて向き合う愚直なまでに一本気な男たちと、消えゆく旧型車両の運命を通して、仕事への愛と誇りを描き切る感動長編だそうですが…(そもそも長編ではなく、連作短編です。)

とにかくこの赤城という男はすごいんです。引きこもりを立ち直らせるし、息子を失った男の心は癒すし、時には男女の仲も取り持ちます。但し、赤城が何故人々を救おうとするのか、そして実際に救うことが出来るのかの説明が一切ありません。過去に誰かに救われたから、はたまた過去に誰かを救えなかったからというエピソードがない上に、話の終わりにちょろっと出てきて、都合よく何でも解決してしまいます。得体の知れない魔法使いが、気ままに人を救う話に感動なんて無いに等しいです。

作者は20年間、電鉄会社に勤務していたということなので、整備工場やそこで働く人々の描写は見事ですし、職人の矜持というか思わず胸が熱くなる場面もありました。『赤城という魔法使い』を登場させず、普通の人々が互いに支え合っていくという話に焦点を合わせれば、いくらでも良くなる余地はあった作品だと思います。

今回は『感動』とは何かを教えてくれる作品として、浅田次郎の『天切り松 闇がたり』を紹介しておきます。大正ロマンを駆け抜けた粋でいなせな盗人一家の人情物語です。一家の親分である『目細の安吉』は『魔法使い 赤城』と同様に粋で完全無欠の男として描かれますが、そんな男でも一番救いたい人を救えなかったという話があり、何度読み返しても号泣してしまいます。




4巻全て甲乙つけがたい素晴らしい作品です。是非一読下さい。
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FC2blog テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

[2011/09/12 15:35] | ★★
[tag] 山田深夜
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