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新刊の文庫小説を★の数で採点し、稚拙な文章も添えます.。ネタばれは少なめに、皆さんが本を手に取るきっかけになれば幸いです。                                                            
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光媒の花 (集英社文庫)光媒の花 (集英社文庫)
(2012/10/19)
道尾 秀介

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評価:★★★

『暗い』・『重い』の中に垣間見える『美しさ』

認知症の母親とひっそり暮らす中年男性、ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹、幼い恋の疼きに駆られた少年、ある出来事を機に耳が聴こえなくなった少女、父が亡くなって以来母を憎み続ける青年、自信を失った女性教師…大切な何かを守るために、人は悲しい嘘をつく-。

各章のクオリティは総じて高く、特に幼い子供の内に秘めた思いの描き方が秀逸です。緩やかに読み易い章へとシフトしていくので、途中で読み疲れることもありません。

但し、ワンパターンでオチが読めるきらいがあるので、願わくはもう一捻り欲しいところ。登場人物がリレーする構成も上手く機能しているとは言い難く、辻褄合わせに奔走するあまりに野暮ったさだけが残る結果になっています。各章を完全に独立させても残る一貫したテーマがあるだけに、なおさら惜しい。
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[2012/10/30 14:42] | ★★★
[tag] 道尾秀介
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シューマンの指 (講談社文庫)シューマンの指 (講談社文庫)
(2012/10/16)
奥泉 光

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評価:★★★

シューマン、シューマン…そしてまたシューマン

シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「わたし」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、ピアニストとして致命的な怪我を指に負い、事件は未解決のまま30余年の年月が流れる。そんなある日「わたし」の元に、修人が外国でシューマンを弾いていたという「ありえない」噂が伝わる―。

「クラッシック音楽にある程度造詣があった方が楽しめる」というような生易しい内容じゃありません。およそ70%はそれ関係の記述が続きますので、知識や関心のない方が読み進めるには相当な気力が必要です。故に、お世辞にも万人向けの作品とは言えませんが、私はこの偏向を突き通した作者や出版社の心意気には拍手を送りたいです。

中盤以降、急な斜面を転がるようにして展開するミステリーが放つ魅力は秀逸。打って変わって、平凡なオチには少々がっかり…「納得はできるが満足はできない」というのが率直な感想です。
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[2012/10/23 17:45] | ★★★
[tag] 奥泉光
トラックバック:(1) |
ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)ミッドナイト・ラン! (講談社文庫)
(2012/10/16)
樋口 明雄

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評価:★

理由無き暴走が止まらない!!

きっかけは集団自殺だった。ネット心中を計画した5人の男女が、山中で実行間際、ヤクザに追われる少女を助けてしまう。だが山を下りると、無数のパトカーに包囲され―なぜか指名手配?今さら怖いモノなどあるものか。警察に追われ、ヤクザに撃ちまくられても、ひたすら突っ走る!生きているという真の意味を問うために―。

なぜ自殺をしようとしていた彼らが少女を助けたのか?なぜそんな彼らを世間が応援するのか??…万事において明確な動機や納得できる状況設定が全くなされていません。「そういうことだからよろしく」の一言でなんでも片付けようとする傲慢さは目に余ります。

物語の鍵となる『少女』の影の薄さ…を通り越したキャラの無さにも驚愕。そして、ヤクザ三人+αを相手に無双する刑事…現実とかけ離れた世界を描くにしろ、物語内でのパワーバランスには配慮して欲しいものです。
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[2012/10/19 21:21] |
[tag] 樋口明雄
トラックバック:(1) |
後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
貫井 徳郎

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評価:★★★★★

刑事もまたひとりの人間である

若い女性を殺し、人差し指を切り取る『指蒐集家』が社会を震撼させていた。ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。捜査一課のエース西條輝司は、捜査に没頭するあまり一線を越え、窮地に立たされることに-。

『垢抜けた容姿』・『明晰な頭脳』・『捜査にかける熱意』…主人公である西條の活躍を描くヒーロー刑事モノかと思いきやそれだけでは終わらない。徐々に明かされる西條という男の本質。コンプレックスの塊だからこそ捜査に没頭する様は本当に痛々しく、一見すれば大きく矛盾している『外』と『内』の態度にも、じわじわと胸に迫る『説得力』があります。

脇を固める刑事たちの本音や葛藤が丁寧に描かれているのも魅力的。『好感』が持てない人物に対しても、否が応にも『親近感』が生まれます。

犯人の正体や動機に特筆すべきものはありませんが、幾度かは「あれッ?」と悩ませてくれる場面もちゃんと用意されています。そもそも犯人が軸となる作品ではないので、サービスカットとしては十二分に許容できる範囲ではないでしょうか。
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[2012/10/15 14:21] | ★★★★★
[tag] 貫井徳郎
トラックバック:(0) |

こんにちは
takeshi3017
はじめまして。いつも楽しく見させてもらっています。
貫井さんの作品,デビュー作の1作しかよんだことなかったんですが
後悔と真実の色 の評価が高かったので
読んでみようと思いました♪
良い情報をありがとうございます♪

takeshi3017 さん
文雀
嬉しいコメント誠にありがとうございます。

私もそんなに数は読んでないのですが、
必ず何か爪痕を残してくれるという印象が
ある作家さんです。


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嗤うエース (幻冬舎文庫)嗤うエース (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
本城 雅人

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評価:★★

『野球』にも『ギャンブル』にも縁のない人間には…

極貧からのし上がった孤高のエース・浪岡は人気球団スターズで世間からの称賛を一身に浴びていた。しかし、週刊誌が暴力団との交際を報じたことでその評価が揺らぎはじめる。次々と明るみに出るスキャンダル、特ダネ合戦に沸く各メディア、それでも平然とマウンドに立ち続ける浪岡。彼は本当に八百長に手を染めているのか?

「プロ野球など所詮は興行だろ。そんなつまらん事件を追いかけているぐらいなら、麻薬や拳銃といった大がかりな犯罪に目を向けるべきではないのか。」浪岡の八百長を暴こうとする刑事に警察幹部が投げかけるセリフですが、私自身もどちらかと言えば幹部の意見に近く、さらにそれが最後まで変化することはありませんでした。本書で語られる『野球賭博』の特異性が呑み込めなかったのが低評価を付けた最大の理由です。

結局『追われる側』にも『追う側』にも感情移入できず、2時間サスペンスでも使い古されたようなラストにはさらに落胆しました。
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[2012/10/12 16:30] | ★★
[tag] 本城雅人
トラックバック:(0) |
ダブル (幻冬舎文庫)ダブル (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
深町 秋生

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評価:★★★★

他の追随を許さない『火力』は必見

薬物密売で急成長する犯罪組織で、刈田は名を馳せていた。だが、最愛の弟を守るため組織の掟を破ったことから、ボスの神宮に弟と元恋人を殺される。自身も瀕死の重傷を負っ た刈田は奇跡的に回復した後、顔も声も変えて古巣に潜る賭けに出た。全ては神宮への復讐を果たすため-。

のっけから緊迫感溢れる銃撃戦に心を鷲掴みにされます。物語を通して、人数・武器・場所が考慮された戦略的な戦い、まさに『戦闘』という言葉がしっくりくるような場面が続くのが良い!!

『潜入捜査もの』としての目新しさはないものの、凄惨な暴力シーンや対抗勢力を増やすという安易な道に走らず、キャラクターをじっくり描きこんだ点も好感が持てます。

気になる点を挙げれば、読者に親切過ぎるところか…意味深を通り越して確信をついた言動が多く、1~2テンポ早い段階で白黒はっきりしてしまうのが先の楽しみを削られているようで惜しい。
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[2012/10/11 16:45] | ★★★★
[tag] 深町秋生
トラックバック:(0) |
乱心タウン (幻冬舎文庫)乱心タウン (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
山田 宗樹

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評価:★★★

パサパサのパンに挟まれたジューシーな具

高さ3メートルの壁・24時間常駐の警備員・無数の防犯カメラ…選ばれし人々が住む街『マナトキオ』。ある日、万全のセキュリティを誇ってきたはずの街で住人の死体が発見!?不穏な空気が立ち込めるなか、残された住人達の欲望や妄想が一気に暴走をはじめる-。

人物紹介に100ページ…物語が動き出すまでにさらに100ページ……相当数のぺージを費やしたのにもかかわらず、『ちょっとアレな金持ち』か『善良な庶民』に二分化するだけで、各人の個性がほとんど引き立っていないのは残念でなりません。

『群像劇』としての見所には欠けますが、特定の人物(主にというか全て庶民サイド)の葛藤や成長には目を見張るものがあるのもまた事実。中盤~ラスト手前まではかなり良い出来です。

しかし、文字通り取って付けた様なオチにはまたまたがっかりさせられます。全ての人物が『幼稚』の一言で片づけられるマナトキオの住人達にも最後まで魅力が感じられませんでした。
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[2012/10/09 16:24] | ★★★
[tag] 山田宗樹
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([ひ]2-1)ダイナー (ポプラ文庫 日本文学)ダイナー (ポプラ文庫 日本文学)
(2012/10/05)
平山 夢明

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評価:★★★★

滴る『血』と『肉汁』

【求む運転手。報酬三十万。軽リスクあり】携帯闇サイトの募集に返信したカナコ。殴られ、蹴られ、穴を掘らされ……行き着いた先は会員制の定食屋。「ここの客は全員が人殺しだ」-店主であるボンペロは言い放つ。文字通り『死と隣り合わせ』の職場で働かされることになったカナコが目にする狂気の世界とは…。

人を痛めつけるシーンは満載ですが、どれもこれも常人が想像し得る『痛みの上限』を遥かに凌駕しているので安心です。『痛みの感覚』が早々に麻痺する一方で、その反動とばかりに『食欲』がどんどん湧いていきます。ハンバーガーをこれほど欲する経験は後にも先にもないはず!

そして最大の見所は殺し屋達のキャラクター。本書に映画風の邦題をつけるなら『哀しき獣達の挽歌』で決まりです。中でもキッドという殺し屋のキャラが立って…いや!立ちすぎています。おかげで終盤明かされるカナコとボンペロの過去やボスキャラの存在が霞みまくりです。

キッドとスタン(彼も良い)が物語から退場した後は、展開も含めてかなり残念です。しかし、その『偏重』こそ『作家性』という気がしないこともない…。
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[2012/10/05 15:09] | ★★★★
[tag] 平山夢明
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夢を与える (河出文庫)夢を与える (河出文庫)
(2012/10/05)
綿矢 りさ

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評価:★★★★

著者が『苦労』を重ねて書き上げた跡が見られる作品

ありふれたチャイルドモデルだった夕子に大手食品メーカーからCMのオファーが舞い込む。夕子の成長と共に『半永久的』に撮り続けられるCMは徐々に浸透し、幅広い年代から指示を受ける。母親や所属事務所からの期待を受けて、芸能界でスターの階段を駆け上がることになった少女に待ち受ける運命とは-。

正直『よく出来た作品』とは言い難い。只々表面をなぞるようなストーリーは『深み』に欠け、人物描写も甘いです。

それでもとにかく主人公である夕子の行く末が気になり、ページをめくる手が止まらない。気づけば私自身も彼女のファンに…?『物事がきれいに消化されない』・『わかりやすいオチがつかない』といった部分にも絶妙なリアリティを感じます。

『少女』が『女』に代わる過程の生々しさや当人の意志とは別に脚光を浴びることになった人物の戸惑いは著者ならでは!作品共々応援したくなります。
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[2012/10/03 21:00] | ★★★★
[tag] 綿矢りさ
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