新刊の文庫小説を★の数で採点し、稚拙な文章も添えます.。ネタばれは少なめに、皆さんが本を手に取るきっかけになれば幸いです。                                                            
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KUNIMORI (中公文庫)KUNIMORI (中公文庫)
(2012/06/23)
五條 瑛

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評価:★★★

タイトル『KUNIMORI』に込められた意味は必見

東京下町の貸しスタジオと共に、複数の賃貸物件を伯母の遺産として相続した武原耕太。勤め先を辞め、スタジオ経営に専念する彼だが、同じビル内の会社『デプラ』が夜逃げしたことを知る。伯母の名を言いながら「たすけてくれ」と繰り返す『デプラ』の元社員達、耕太の元に訪れた謎の少年…そして、叔母が抱えていた秘密とは-。

比較的早い段階で事件のあらましの想像がつく割には、なかなか話が進みません。さらに、序盤はいわゆる『下町の市井の人々』が中心に描かれていくのですが、文体や登場人物が持つ雰囲気がそれと噛み合わず、二重の意味でストレスを感じます。

中盤以降はお得意の展開になり、序盤で感じる違和感も薄れて行くので、安心して読み進めるが出来ます。軸となる『コップの話』は本当に目から鱗が落ちる思いです。

敢えて注文をつけるなら、登場人物は半数程度に絞るべきだったかと…各々が抱える背景や相手との関係性の描き込みが足りないせいか、今一つ盛り上がりに欠けます。少なくとも、『叔母』→『叔父』で良かったのでは…。
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[2012/06/29 15:57] | ★★★
[tag] 五條瑛
トラックバック:(1) |
ラブコメ今昔 (角川文庫)ラブコメ今昔 (角川文庫)
(2012/06/22)
有川 浩

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評価:★★★★

「ごちそうさま」…読んでいるこちらが恥ずかしくなるような恋愛模様

突っ走り系広報自衛官の女子が鬼上官に迫るのは、「奥様とのナレソメ」双方一歩もひかない攻防戦の行方は!? 表題作ほか、ベタ甘全開の『自衛隊物ラブコメディ』全六話。職場での出会い、上司を介した出会い、偶然の出会い…各々事情を抱えながらも、人は恋に落ちていく。

怒りっぽいが照れ屋な大隊長、勝気だが涙もろいキャリアウーマン、お調子者で人当たりも良いが肝心な言葉はなかなか言い出せない広報官などなど…それぞれが抱えるギャップを上手く使い、親しみやすいキャラクターを創り上げています。

自衛隊内での職場結婚が多く、その離婚率が高いという問題であったり、自衛隊員が家族を持つことに関して至極真面目に描かれている点も良いです。

前半の三作品は文句なしの出来でしたが、それ以降の二作品はコメディ要素が薄いので今一つ…最後の作品は蛇足というか何だか野暮ったらしい。
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[2012/06/25 15:00] | ★★★★
[tag] 有川浩
トラックバック:(2) |


gaker
どうもです。

甘い展開もさることながら、一本芯の通ったテーマが全編を通してあったのが個人的には好きです。
有川浩としては甘さは控えめだった気がします。
その分「国を守る」自衛官が強く描かれていますよね。


文雀
gakerさん

実は有川さんの作品は初めてだったのですが…

これでも「甘さ控えめ」だとは……。

ますます他作品も読んでみたくなりました。




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刑事のまなざし (講談社文庫)刑事のまなざし (講談社文庫)
(2012/06/15)
薬丸 岳

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評価:★★★★

短編ながらも思わず唸りたくなるような『救いの無さ』は健在

「ぼくにとって捜査はいつも苦しいものです」―通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目は法務技官の職を辞め、刑事の道を選んだ。刑事らしくない刑事…夏目は社会の歪みで苦しむ人間たちを時に温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す。

五十ページ程の短編×七話で構成されているのですが、一話一話の密度の濃さは尋常ではありません。各話ごとの登場人物が限られているので、犯人やその動機はある程度特定出来るのですが、薄皮一枚で興味を残したり、鮮やかに予想を裏切ったりと変幻自在の手腕が冴え渡ります。さらには夏目の過去や人物像までも少しずつ明らかにしていくのだから見事としか言いようがありません。

惜しむべくは最終話で表題にもなっている『刑事のまなざし』の展開がさすがに強引過ぎたか…本作の集大成とも言える話なので、良くも悪くも強く印象に残ってしまいます。出来れば最終話はまだ書かずに、続編を書いて欲しかった。
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[2012/06/21 15:00] | ★★★★
[tag] 薬丸岳
トラックバック:(1) |
影法師 (講談社文庫)影法師 (講談社文庫)
(2012/06/15)
百田 尚樹

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評価:★★★

小柄な人物が大柄な人物を肩車しているのを見ているようで…

父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから―竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵(幼名:勘一)は、その死の真相を追う。

勘一の父親の死に様、一揆における農民と武士のそれぞれの覚悟…序盤の展開は秀逸で、傑作の予感を色濃く漂わせています。

中盤以降は勘一と彦四朗の友情物語が中心となり、面白いと言えば面白いのですが、それ以上に釈然としない部分が残ります。結局最後まで彦四朗の行動が理解し難いというか、そこまでやる理由や必要性が理解出来ないからです。物語をいくら読み進めても『彦四朗最強説』に行き着いてしまうので、二人に対して「入れ替わった方が良いのではないか」と思わず言ってやりたくなります。

二人の身分や立場を少し変えるとか、勘一の父親の死に彦四朗をもっと深く関わらせることで、いくらか説得力が増したのではないでしょうか。
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[2012/06/18 13:51] | ★★★
[tag] 百田尚樹
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マイ・ハウス (幻冬舎文庫)マイ・ハウス (幻冬舎文庫)
(2012/06/12)
小倉 銀時

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評価:★★

平凡なわりに後味だけは悪い

無職の夫・引きこもりの息子・反抗的な娘…ホームヘルパーと家事の両立で身を粉にし、日々の生活に疲れ切っていた和子。八方塞がりの日常から抜け出す為にも、一度は諦めたマイホームの購入を決意する。潤沢とは言い難い蓄えを元にし、和子は『競売物件』に手を出すことに…しかし、目を付けた物件には裁判所の通告を無視し、一人で居座り続ける昭子の存在が……。

『ゆとりある生活』と『失った家族の団欒』を取り戻すためにマイホームに妄執する主婦…もはや手垢がついた感の否めない設定に加えて、その後の展開も悪い意味で予想を裏切ってくれません。

肝となる和子と昭子の対立についても、両者の悪意のバランスが釣り合っていないせいで、今一つ物語に引き込まれません。作中で最も善良且つ勤勉で、前向きに生きようとしている和子に降りかかる苦難は只々不憫で……『泥仕合』を演じたいのなら、お互いが相応に汚れていないと…。
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[2012/06/15 14:00] | ★★
[tag] 小倉銀時
トラックバック:(1) |


評価:★★★★

希望とその三倍の絶望

三つの町が合併してでできた人口12万人のゆめの市。古くからある商店街はさびれ、国道沿いの大型商業施設「ドリームタウン」が唯一の盛り場。失業・高齢化・母子家庭…生活保護費が市の予算の10%を超える土地で暮らす人々に明るい未来は開かれるのか。

共感も反感も抱きづらい登場人物たち…それ故の実在感というか、生身の人間臭さに溢れ、終始ヒリヒリとした緊張感を味わうことが出来ます。

群像劇としての完成度も高く、何より章を切り替えるタイミングが絶妙です。上・下巻併せて700ページを超える分量ながら、途中で息切れすることもなく、ラストまで一気に読ませてくれます。

但し、さすがにオチは強引というか安直というか…確かにああでもしないと幕を下ろせないというのはわかるし、淡泊過ぎてもそれはそれで物足りないということになるのもわかるのですが、もう一つ何か突き抜けるものが欲しい。
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[2012/06/13 15:00] | ★★★★
[tag] 奥田英朗
トラックバック:(1) |
シングルベル (朝日文庫)シングルベル (朝日文庫)
(2012/06/07)
山本幸久

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評価:★★★★

愛すべきバカファミリー

恋の気配すらない息子に業を煮やし、親同士のお見合いセミナーに参加した父。親族達も巻き込んで、息子と3人の女性たちとの“出会い”を演出することになる。外資系バリバリ管理職、平凡なOL、元人気モデルの中から息子の結婚相手は見つかるのか??

とにかく登場人物の行動や言動がかわいい。主要人物については言うまでもなく、端役に至るまでその姿勢が徹底されています。会社の社長が年始の挨拶で「今年もみんな仲良くね」と言う場面など、実際にはありえないだろうけど、すごく好きです。

ストーリーも練られていて、登場人物が出揃った辺りで、先の展開が「いよいよわからなくなってきたぞ」と胸が躍ります。

終盤がやや駆け足で、説明的なセリフや描写が続くのはマイナス…ラストの甘酸っぱい感じは素敵ですが、人物の変更、そこまでしなくともちょっとしたエピソードの付け替えで、より感傷的になったはずなのにもったいない。
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[2012/06/11 13:42] | ★★★★
[tag] 山本幸久
トラックバック:(1) |
贖罪 (双葉文庫)贖罪 (双葉文庫)
(2012/06/06)
湊 かなえ

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評価:★

『告白』>『少女』>『贖罪』

誇るべきところは空気のきれいさ、そんな穏やかな田舎町で起きた惨たらしい美少女殺人事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる――これで、私の罪は、償えたのでしょうか?

(原稿依頼)
『少女』は今一つ読者に受け入れられませんでしたね…やっぱり『告白』みたいなのをもう一回頼みますよ!
(原稿チェック)
『告白』と比べると少しインパクトに欠けますよね…もっと刺激的な描写……少女が犯されるシーンとか入れましょうよ!

※以上はあくまで想像上のやり取りですので、あしからず…

私は作品を評価する際に、シリーズ物でもないかぎりはなるべく作品単体で評価するように心がけています。しかし本作はどうしても過去作の『告白』とは切り離せないというか……はっきり言って酷似しています。

同じく過去作の『少女』については、個人的に評価が高い作品とは言えないものの、本作と比べれば作者が何かを表現しようとする心意気みたいなものが伝わって来ました。

「本当に作者はこれが書きたかったのか」と疑問を感じずにはいられません。
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[2012/06/07 17:00] |
[tag] 湊かなえ
トラックバック:(1) |


評価:★★★★★

何気ない一コマにも自然と涙が溢れる良作

天はその村の傍らに大きな川を与えた。しかし、大河を流れる水は一滴も――。嘆きの声すら掻き消す水流。ここ筑後川に堰を築くため、水涸れ村の庄屋五人が身命を賭して戦いを挑む!

最小限の描写で百姓達が置かれていた状況を伝える手腕は見事です。過酷な状況の中にも、思わず胸が温かくなる場面が要所に差し込まれ、退屈や説教臭さを微塵も感じさせない一級のエンターテイメント作品です。

本書の最大の見所である五庄屋による奉行への嘆願は圧巻の一言に尽きます。五人のキャラクターを見事に描き分け、「誰一人として欠けてはならなかった」と感じさせてくれます。

現代の政治家やお役所の方々に五庄屋を見習っていただきたいというのはもちろんですが、自身も健気な民達の生き方を見習っていかなければならないという思いに駆られます。庄屋と百姓、どちらが欠けても事は成らなかったはずなので…。
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[2012/06/04 17:21] | ★★★★★
[tag] 帚木蓬生
トラックバック:(1) |


ханяма
読みたい!!

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