新刊の文庫小説を★の数で採点し、稚拙な文章も添えます.。ネタばれは少なめに、皆さんが本を手に取るきっかけになれば幸いです。                                                            
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ベイ・ドリーム (中公文庫)ベイ・ドリーム (中公文庫)
(2012/04/21)
樋口 有介

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評価:★★★

主人公・母親・助手…シリーズ化して、この三人のキャラクターは是非とも活かして欲しい。

ミミズの研究一筋に生きて四十数年、女性とは全く縁のなかった柿本書彦が出会った美女・中山紗十子。東京湾岸の埋立地で奇形のミミズを発見した書彦に、東京都知事の側近である紗十子が近づいた目的とは…?折しも埋立地には東京都の一大プロジェクト「歴史博物館」の建設が発表され、政治家やゼネコンが利権をめぐって暗躍しはじめていた…。

人畜無害ながらも、手前勝手な妄想癖が過ぎる主人公が良い!!母親と助手(頻繁に会話を交わす数少ない女性)から公私に渡ってせっつかれる様子が小気味よく描かれています。

それに対して、ヒロインの魅力が弱いのが残念です。彼女の魅力の強さこそが重要なカギとなるお話なので、そこを上手く描いていないせいで物語全体の説得力も失っています。

キャラクター間の利害関係が不明瞭な点だとか、ゼネコンが隠し通そうした秘密がインパクトに欠ける点なども気になりますが、主人公達の魅力が辛うじてそれらを上回っています。
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[2012/04/27 16:00] | ★★★
[tag] 樋口有介
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乗るしかないっ!
トサカ
hi10cz4d
乗るしかないっ!!
このビッグウェーブに!!
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ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)
(2012/04/13)
辻村 深月

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評価:★★★★★

女性同士の複雑な心情……その静かな迫力に圧倒されます。

"30歳"という岐路の年齢に立つ、幼馴染のみずほとチエミ。年齢を追うごとに、疎遠になっていった二人がある事件をきっかけに再び、引かれ合う。チエミが母親を殺し、失踪してから半年…何かに突き動かされるように、警察の手を逃れ今なお失踪を続けるチエミと、彼女の居所をつきとめようと奔走するみずほ。行方を追う中、不可解な事件とその真相が明らかに……!!

みずほがチエミの居所を突き止めようと、共通の友人・恩師・同僚を訪ね歩き、チエミの人物像が徐々に明らかになります。しかし、チエミという人物を知れば知るほどに、起こした事件とのギャップが浮き彫りとなり、余計に興味がそそられていきます。

とにかく女性の心理描写が見事。表では誉め合いながら、裏ではいがみ合い、さらにその裏では…「女同士はドロドロしている」とよく言われますが、本作ではその先にある女性特有の『友情』を見せてもらえた気がします。

突拍子もない展開で、それまで語られてきた物語を台無しにするようなこともなく、味わいのあるラストも素晴らしいです。チエミが本当に手に入れたかったモノが明らかになる時、胸が詰まると同時にある種の感動を覚えます。
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[2012/04/23 16:27] | ★★★★★
[tag] 辻村深月
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訪問者 (祥伝社文庫)訪問者 (祥伝社文庫)
(2012/04/12)
恩田 陸

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評価:★★★

いくらなんでも、『訪問者』が多過ぎるのでは…

山中にひっそりとたたずむ古い洋館-。三年前、近くの湖で不審死を遂げた実業家朝霞千沙子が建てたその館に、朝霞家の一族が集まっていた。とある事情で、週刊誌の記者とカメラマンを館に迎え入れ、彼らの取材に受け答える朝霧家の面々…。ほどなくして、冬雷の鳴る屋外で男の死体が発見されるという事件が起こる。ほんの数日前、館に届いた「訪問者には気をつけろ」という警告文はいったい何を意味しているのか……。

序盤における人物紹介の手際と『含み』の持たせ方は絶妙で、閉鎖された山中の舞台にグッと引き込まれます。

しかし、中盤以降は「この役割は一人で良いのでは?」という疑問が随所に持ち上がります。『目眩まし』の為だというのはわかるのですが、読者に対して、もう少し真向勝負を挑んで欲しいものです。

オチもあっさりし過ぎか…用意した舞台を活かせていないというか、心理的な恐怖に訴えかけるような展開が足りないように感じます。
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[2012/04/20 18:54] | ★★★
[tag] 恩田陸
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遠い響き (講談社文庫)遠い響き (講談社文庫)
(2012/04/13)
藤谷 治

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評価:★★★★

読む者の『怖いもの見たさ』を存分に刺激してくれる作品です。

嵐の夜に多摩川べりで出逢った男は、私と妻を相手に、長い奇妙な打ち明け話を始めた。エロ同人誌を販売する会社に勤めている事、マイナーアイドルの追っかけをしていた事、微妙にギクシャクした家族の事…。全てを語ろうとする男に、私は苛立ちを覚えながらも、耳を傾ける。

小説の大部分は、男の何でもない日常で構成されているにもかかわらず、常に不穏な空気を纏っています。上手く言葉に出来ませんが、お化け屋敷に入って、最初のお化けが出てくるまで味わう独特の緊張感に近い気がします。

中でも人物描写が秀逸で、日本語を正しく使えない社長とオタクビジネスを熱く語る同僚がとにかく不気味で、癇に障ります。彼らの直接的な悪意が描かれているわけでもなければ、話をする男に感情移入しているわけでもないのに、彼らに対して抱いた強い嫌悪感は自分でも不思議に思う程です。

??で始まり、???で終わる作品ですが、話をする当の本人がアレだからということで納得するしかないようです。
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[2012/04/18 17:42] | ★★★★
[tag] 藤谷治
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モンスター (幻冬舎文庫)モンスター (幻冬舎文庫)
(2012/04/12)
百田 尚樹

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評価:★★★★

整形に批判的な考えを持つ私でさえ、主人公が文字通り「自らを賭して手に入れた美しさ」を覆すのには大きなためらいを覚えます。

和子は畸形的な不細工であり、学生時代を通じて周囲からバケモノ呼ばわりされる悲惨な日々を送った。ある事件がきっかけで、追われるように移り住んだ「美女の街」東京。そこで整形手術に目覚めた彼女は、手術を繰り返して完璧な美人に変身を遂げる。名前や年齢を偽り、生まれ故郷の町に戻った彼女の真の目的とは……。

ありきたりな設定ではありますが、「いかにして彼女が美しくなったのか」という部分が事細かに、そして壮絶に描かれているので、物語にグイグイ引き込まれていきます。決して好感が持てるキャラクターではないものの、彼女が中盤に一つの到達点を迎えた際には、思わず唸ってしまう程のカタルシスが得られます。

しかし、そのカタルシスが強すぎたせいもあってか、終盤はやや物足りない印象が…全般的に予定調和というか、話が一本道になり過ぎていたようにも感じます。横槍を入れてきそうなキャラクターがきっちり揃っていただけに、なおのこと惜しい…。
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[2012/04/16 16:06] | ★★★★
[tag] 百田尚樹
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平等ゲーム (幻冬舎文庫)平等ゲーム (幻冬舎文庫)
(2012/04/12)
桂 望実

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評価:★★

この島だけでなく、この作品にも…『砂上の楼閣』という言葉を送りたい。

瀬戸内海に浮かぶ『鷹の島』、そこは島民1600人が全員平等。衣・食・住は無償、仕事は抽選による4年交代制、島で得た収入は平等に分配される。島で生まれ育った芦田耕太郎は、本土からの移住者を募る仕事を任され、対象者に島の素晴らしさを説いて回る日々を送る。しかし、耕太郎がユートピアと信じていた島で次々と予期せぬ出来事が……。

アイデア自体は面白いので、かろうじて興味は持続するものの…

ユートピアに必要な排他性が極めて乏しいのが致命的な欠点です。島民が他の地域へ気軽に出かけていくし、島民に迎える人物の審査も表面的な身辺調査だけ…そのような状況下において、ある種の『歪』が生まれるのは火を見るより明らかなはずです。にもかかわらず、その排他性の乏しさが大前提にあり、本文中で言及されることすらありません。最たる元凶を無視して、その是非を問われても全くピンときません。

島を去る者、島に戻る者、島に来る者…それぞれキャラクターを当て込んだのは良いのですが、どうにも消化不良な感が否めないし、最終的に「みんなちがって、みんないい。」 という風な話しに流れていくのも理解出来ません。
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[2012/04/12 17:00] | ★★
[tag] 桂望実
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聖女の救済 (文春文庫)聖女の救済 (文春文庫)
(2012/04/10)
東野 圭吾

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評価:★★★

内海刑事の直感、草薙刑事の経験、そして湯川教授の見識が犯人の企みを暴く!!

資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断で草薙刑事の盟友である天才物理学者の湯川学に協力を依頼することに……。

序盤で犯人や動機をほぼ明らかにしているにもかかわらず、最後まで退屈や冗長をほとんど感じさせないのはさすがの一言です。草薙刑事と内海刑事が捜査の方向性を巡って衝突しながらも、お互いが足りないピースを埋め合いながら、真相に迫っていく過程は存分に楽しめます。

それでも軸となる事件のトリックにはさすがに無理が……犯行の実現性が乏しいのは置いたとしても、仮に実現したからといって、完全犯罪が成立すると犯人が確信出来た理由がわかりません。犯人が極めてクレバーであるという設定なだけに、犯行に伴う不確定な要素があまりにも多過ぎるのでは…。

ついでに言うと、『虚数解』の話を持ってきたのなら結末はむしろ…ネタバレなので、この辺で自粛しておきます。
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[2012/04/10 19:24] | ★★★
[tag] 東野圭吾
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この世の全部を敵に回して (小学館文庫)この世の全部を敵に回して (小学館文庫)
(2012/04/06)
白石 一文

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評価:★

『哲学書』や『自己啓発書』を手に取ったつもりがない身としては…

急逝した友人がフロッピーディスクに残した手記。彼自身の言葉で語られる「生とは?」「死とは?」「愛とは?」…私は彼の手記で得られた感興をいまの若い人々にこそ伝えたいと思い立つ。

序章の語り手の友人であるK***氏の手記は、自らの妻や子供達を愛してはいないどころか、「私がこれまで働いて得てきた金銭の容赦なき簒奪者」と評するところから始まります。これにはタイトルのインパクトと相まって、嫌が応にも期待が膨らみます。

しかし、以降はK***氏の持論というか、説法めいたものが脈絡もなく延々と続きます。そもそもストーリーがないので興味が持続せず、キャラクターもほとんど描かれないので感情移入もしづらい。文章に入り込めないので、「動物の世界に売春婦は存在しない。」といった断言であるとか、全体を通して見れば瑣末かもしれない部分にもいちいち引っかかってしまいます。

さらに、中身の是非は置いても、序章がどうしても気に食わない。なんだか言い訳めいているというか…のっけから手記で始めた方が多分に潔いのではないでしょうか。
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[2012/04/06 19:18] |
[tag] 白石一文
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張り込み姫: 君たちに明日はない3 (新潮文庫)張り込み姫: 君たちに明日はない3 (新潮文庫)
(2012/03/28)
垣根 涼介

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評価:★★★★

『主人公の成長』や『恋人との関係』を楽しむためにも、まずは過去作を…。

シリーズ三作目、リストラ代行会社で働く主人公の村上真介。主な仕事はリストラ対象者と面接し、早期退職を促すこと。今回のお相手は英会話講師、旅行会社の営業マン、車の整備士、写真週刊誌の記者…先行きが見えない現代において、彼(彼女)らは自らの仕事と改めて向き合い、どのような選択をしていくのか……。

前半を読み終えて、さすがにネタが切れてきたかなとやや「息切れ」を感じました。何となく、話の切り口自体も鈍ってきたような…

しかし、File3『みんなの力』は掛値なしに面白い。メインとなる整備士の物語は言うまでもなく、その得意客についてまで丁寧に描かれています。さらに、主人公の真介というキャラクターが面接を担当することでの話の広がりも生まれており、本作中では屈指の出来です。

振り返ると全編を通して「重苦しい現実」というより、「こんな世界であったら良いな」ということが色濃く描かれているので、一種のファンタジーとして純粋に楽しむのが正解のような気がします。
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[2012/04/03 16:00] | ★★★★
[tag] 垣根涼介
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