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新刊の文庫小説を★の数で採点し、稚拙な文章も添えます.。ネタばれは少なめに、皆さんが本を手に取るきっかけになれば幸いです。                                                            
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サイレント・ブラッド (角川文庫)サイレント・ブラッド (角川文庫)
(2011/08/25)
北林 一光

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評価:★★

「わかったぞ。〇〇が〇〇〇だったんだ。」 比較的重厚なトーンのミステリー小説で主人公がこのセリフを発した時はさすがに閉口しました。

正直大きく期待外れでした。表紙の装丁と、何より冒頭のプロットが明らかに前作の『ファントム・ピークス』(評価:★★★★)を彷彿とさせるので、どうしても比較せざる得ませんでした。

物語はよくある行方不明者捜索型のミステリーです。パニック要素が強かった前作と比べると、より正統派なミステリーとして中盤まで話が進みます。話の起点は同じでも、進む方向性は異なるので前作の二番煎じといった印象はあまり受けません。

では、何が期待外れかというと登場人物の魅力が非常に薄い点です。主人公が父親の捜索に執心することやヒロインや他の登場人物が主人公の捜索に手を貸すことの動機が全く伝わって来ません。主人公達の行動が誰かの為ではなく、ただ目の前にある謎を解き明かすことを目的とし、皆が勝手に右往左往している様にしか見えませんでした。前作も話の展開自体はやや荒唐無稽な感はありましたが、登場人物の魅力がそれを補って余りある仕上がりでした。作者の魅力は謎有りきではなくて、人有りきだと思います。本作は前作より話の荒唐無稽さがアップし、登場人物の魅力がダウンした非常に残念な作品でした。

ファントム・ピークス (角川文庫)ファントム・ピークス (角川文庫)
(2010/12/25)
北林 一光

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FC2blog テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

[2011/08/29 20:35] | ★★
[tag] 北林一光
トラックバック:(1) |
嘘と少年 (ポプラ文庫)嘘と少年 (ポプラ文庫)
(2011/08/05)
永瀬 隼介

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評価:★★★★★

伏線はいかにもという感じだし、ラストもどこかで聞いたような話なのでミステリー好きの方には物足りないかもしれません。しかし、今まで読んだどの小説よりもとにかく怖かった。

失踪した一人の少女を探す為に、三人の少年が森へ入っていく話を軸とし、大人になり病室で向かい合う二人、語り手である少年の日常と絶えず場面が切り替わって物語は進行していきます。

物語の途中、三人の少年がそれぞれの不遇な家庭環境を明らかにします。傍から見たら気づかないものであったり、貧困などのある種ステレオタイプなものだったりします。しかし、12才の少年達は自分のそして友人の置かれた環境が自分達にはなす術がないことを理解していて、泣いたり怒ったりするのでなく淡々と受け入れていくのです。誰にも起り得る不幸に抗う術がないという閉塞感が何よりも怖いと感じました。

作者の著書は他にも何作か読みましたが、「不穏な事が起っている」or「これから不穏な事が起きる」という雰囲気を創るセンスは抜群です。故に序盤はグイグイ引き込まれるのですが、終盤にかけて一気に失速してしまうという印象が強く、これまで手放しで誉められる作品はありませんでした。しかし本作は250ページ程度と長編としては短めで、余計に話を引き伸ばすようなことはしていないので、最後まで物語の緊張感が持続出来たのが良かったです。ぶ厚めの作品が多い作者ですが、本作ぐらいの分量が最も良さが際立つのではないでしょうか。
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[2011/08/25 19:35] | ★★★★★
[tag] 永瀬隼介
トラックバック:(0) |
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
(2011/07/15)
道尾 秀介

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評価:★★★

「この作品が日本推理作家協会賞?」、特に中盤にかけて様々な部分で粗が目立ち始めました。しかし、そこでふと気付いたんです。「俺は今までかなりの本を読んできた。大賞作品の粗を見つけられる程に読み手としてのレベルがアップしてしまったのではないか…」。見事に勘違いでした。ラストの展開で私が感じていた粗は一つ一つ覆されていき、さながらオセロで逆転負けを喰らったような感覚を味わいました。

ある者は娘を、ある者は妻を、ある者は親を悲惨で形で失ったケチな詐欺達の「ONCE AGAIN」の物語です。

序盤でメインキャラクター達が背負った重い過去が明らかにされていく場面は秀逸で「何でも良いからこいつ等には幸せになって欲しい」と思わずにいられませんでした。

残念だった点は、サブキャラクターのせいで物語の魅力が半減してしまったことです。彼(彼女)達のせいでメインキャラクターの背負った過去の重みが損なわれたり、話が冗長的になったりと負の効果しか感じませんでした。物語の構造上どうしても中盤の推進力が弱くなり、読者の興味が削がれていく中で、余計なエピソードでページを増やしてしまったのは完全にマイナスでした。話自体をタイトにするか、メインキャラクターを掘り下げるかしたら、確実に★★★★は付けられた作品でした。

この手の作品が好きな方は同じく日本推理作家協会賞受賞作品で、ケチな詐欺師達の「ONCE AGAIN」モノと共通点が多い、真保裕一の『奪取』もおススメします。

奪取(上) (講談社文庫)奪取(上) (講談社文庫)
(1999/05/14)
真保 裕一

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奪取(下) (講談社文庫)奪取(下) (講談社文庫)
(1999/05/14)
真保 裕一

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[2011/08/22 20:25] | ★★★
[tag] 道尾秀介
トラックバック:(0) |
君が悪い (光文社文庫)君が悪い (光文社文庫)
(2011/08/10)
新堂 冬樹

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評価:★

とあるライターさんがインタビューで文章が上手くなる方法を聞かれ、「とにかく文字数を書くこと。そして一人でも多くの人に見てもらうこと。」と答えていました。その言葉に心を打たれ、私はこのブログを始めたのですが本書と出会ってから早くもその心が揺らいでしまいました。

断っておきますが、私は作者の著書を10冊以上読んでいるそこそこのファンです。お得意の残酷描写やブラックな展開も基本的には好きです。ですから、生理的に合わないとか嫌悪感から★をつけたわけではありませんのであしからず。

中学教師の竹林という男が些細な諍いから殺人を犯してしまい、その殺人を隠すためにさらに殺人を重ねてしまうという話です。

特にサスペンス的な要素もなく、文字通り取って付けたように次から次へと竹林に殺されるだけの脇役が登場し、残酷な殺され方をしていきます。報復や脅迫の意味を持たない残酷な行為は単に気持ちが悪いだけです。長編としては短めの小説ですが、単調な展開が続くので驚くほど長く感じました。ラストの展開も意外性のかけらもなく、今さらそれがどうしたというようなオチでした。

他の方のレビュ-でどこまでも手前勝手な竹林が作者の過去作『吐きたいほど愛してる。』に収録されている「半蔵の黒子」という短編の主人公の毒島半蔵を彷彿とさせるキャラクターだと言われています。しかし、半蔵は本作の竹林が足元に及ばない程に狂っています。半蔵より平凡な竹林で長編を作るのだからよほどストーリーに工夫がないと退屈な作品となるのは自明の理です。終盤にかけて思い出したように狂った人物として描かれる竹林と違い、序盤から全開(壊)の半蔵は一見の価値有りです。

吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)
(2007/07)
新堂 冬樹

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[2011/08/18 20:50] |
[tag] 新堂冬樹
トラックバック:(0) |
泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる (徳間文庫)泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる (徳間文庫)
(2011/08/05)
永嶋恵美

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評価:★★★★

鮮やかな筆致が光る連作短編です。編ごとの起承転結がしっかりしており、笑いあり涙あり謎解きありの驚くほど気持の良い作品に仕上がっております。作者のこれまでの作品では『転落』や『災厄』などに代表される良い意味で後味の悪い作品が印象に残っていたので、本作と同じ作者が書いたものとは俄かに信じられない程でした。

本作は泥棒猫ヒナコの事件簿シリーズの2作目となります。「あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます」。オフィスCATに異性間のトラブルや悩みを抱えた女性が電話をすることで物語が動き出します。

本作の魅力は何といっても現代女性を取り巻く人間関係と心理描写が巧みであること。「こうゆう女性いるよなー」と思わせるリアリティは圧巻、男性の私をしてそうなのだから、女性にとってはさらに強い共感が得られるのではないでしょうか。短編ながらも各編のオチが丁寧に作り込まれている点にも好感が持てます。おおよその展開は想像がつくのですが、ラストにちょっとしたひねりと救いを必ず用意してくれています。

但し、シリーズ1作目の『あなたの恋人、強奪します。』と比べて、ターゲットとなる男性が籠絡されていく様子の描写が省略されてしまっているのが残念でした。好み(外見・仕草等の極めて幼稚な)の女性が現れたら、簡単に心変わりしてしまう馬鹿な男達がいてこそ成り立つ商売なわけですから。その点で-★にしました。ちなみに前作の評価は★★★★★です。本作だけ読んでも十分楽しめる内容ですが、前作も読むことを強くおすすめします。

泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる (徳間文庫)泥棒猫ヒナコの事件簿 別れの夜には猫がいる (徳間文庫)
(2011/08/05)
永嶋恵美

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[2011/08/15 18:05] | ★★★★
[tag] 永嶋恵美
トラックバック:(0) |

オフィスCATに電話相談してみます
セキモン
なんて事にはなりたくないですね。

2作目から入ったので、1作目も積ん読なんて言わず、読んでみたいと思います。

永嶋さんもサスガ有名人なだけあって、いろんなサイトで取り上げられてます。
http://birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

その道の王道を極めることができるか、
これからいろいろ試されそうですね。
次の作品も楽しみにして待つ事にします。

セキモンさんへ
文雀
コメントありがとうございます。

1作目本当におすすめなので、是非読んで下さい。

また覗きに来て下さい。

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